熟成でウイスキーに起こる変化【ウイスキーガイド #5】

熟成でウイスキーに起こる変化【ウイスキーガイド #5】

~樽の中で起きるウイスキーの変化~

熟成の秘密

ウイスキーの味わいを決める樽熟成。
ニューポットが注がれてから、樽の内部では無数の変化が起きています。

この記事では、代表的な変化の数々に迫ります。

樽熟成によるウイスキーの代表的な4つの変化

  1. 酸化 【呼吸するウイスキー】
    樽に注がれた直後から始まる反応、酸化。
    樽の微かな隙間から流入した酸素と反応したアルコールは、有機酸や酢酸へと変性します。
  2.  エステル化 【紡がれる果実香】
    樽の中で有機酸とアルコールが結びつくと、香気成分のエステルが生まれます。
    これが果実のような華やぎをもたらし、樽の中で重なり合いながら、個性的な熟成香を育みます。
  3. エンジェルズシェア【風味の洗練】
    蒸散でアルコールの一部が失われると、刺激が落ち着き、まろやかな味わいに。
    この現象を見たかつての職人たちが、「天使が味見をしている」と表現したことが、名の由来になったといわれています。
  4. 樽材の成分溶出【木が与える贈りもの】
    オーク材が持つリグニンやタンニンなどが原酒に溶け出し、香りや色、味わいの輪郭を形づくります。
    リグニンは分解され、甘いバニラ香を生むバニリンへ、タンニンは透明のニューポットを琥珀色に染め上げ、味わいに深みをもたらします。

樽は単なる容器ではなく、ウイスキーの個性を形作る「奇跡の器」なのです。

時を味わいに変える器

樽は、ただ酒を保管するための器ではありません。
りを育て、色を与え、時間そのものを味わいへと変える存在です。
樽熟成の仕組みを知ることで、ウイスキーと向き合う時間は、きっとこれまでより豊かなものになるでしょう。