樽用語解説 「天使の分け前」「デビルズ・カット」とは?

樽用語解説 「天使の分け前」「デビルズ・カット」とは?

ウイスキーの熟成に欠かせない樽には、ウイスキー愛好家や製造者の間でよく使われる独特な用語がいくつか存在します。

今回は、ウイスキー熟成に関連する主要な樽用語について解説します。これらの用語を知ることで、ウイスキーの世界がさらに広がるでしょう。

1. 天使の分け前(Angel’s Share)

「天使の分け前」とは、ウイスキーが樽の中で熟成されている間に蒸発して失われる部分のことを指します。

ウイスキーは長期間、樽の中で熟成されることで風味が深まり、複雑さを増しますが、樽の木材は自然素材であるため、微量の液体が外へ蒸発します。

年間に約2~3%が蒸発するとされ、この消失分が「天使に捧げられた」と例えられてきました。特に温暖な気候の地域では蒸発が早く進むため、天使の分け前が多くなる傾向があります。

2. 悪魔の取り分(Devil’s Cut)

「悪魔の取り分」は「天使の分け前」に対して使われる用語で、樽の木材に吸収されてしまったウイスキーのことを指します。

木材の内部にしみ込んでいるウイスキーは簡単に取り出せませんが、バーボンウイスキーのメーカー「ジム・ビーム」がこのデビルズ・カットを抽出する技術を開発し、独特の濃厚な風味を持つウイスキーとして販売しています。

3. ファーストフィル(First Fill)

ファーストフィルとは、樽が初めてウイスキーの熟成に使用されることを指します。

特にシェリー樽やバーボン樽で、この用語がよく使われます。ファーストフィルの樽は、まだ樽内に多くの風味成分を含んでいるため、ウイスキーに強い影響を与えることが多いです。

例えば、ファーストフィルのシェリー樽は、豊かなフルーティーな香りや濃厚な色合いをウイスキーに与えます。

4. リフィル(Refill)


リフィルとは、すでに一度ウイスキーの熟成に使用された樽を再利用することです。

リフィル樽は、ファーストフィルに比べて樽材から得られる風味成分が少ないため、より穏やかな影響をウイスキーに与えます。そのため、ウイスキー本来のフレーバーをしっかりと楽しみたい場合にリフィル樽が使われることが多くあります。

最後に

ウイスキーの樽に関する用語は、熟成プロセスや風味形成に大きく関わる重要な要素です。

これらの用語を理解することで、ウイスキーの製造過程やその奥深さに対する理解が深まり、より豊かなテイスティング体験が得られることでしょう。