【ソムリエ執筆】キャラファージュとは

【ソムリエ執筆】キャラファージュとは

キャラファージュとは


キャラファージュCarafageとは、キャラフェCarafe(カラフェ、キャラフとも)と呼ばれるガラス製等の容器に、瓶からワインを移し替える作業を指す。

日本語としては馴染みが薄い言葉であり、似た意味のワイン用語ではデキャンタージュDécantageの方が有名だろう。
デキャンタージュもワインを移し替えるという作業自体はキャラファージュと同様であるため、両者が混同される場合も多い。


容器としてのキャラフェ

また、キャラフェは、飲食店でワインを計り売りする場合に用いられる容器として一般に認識されている(ややこしいが、この場合の容器を「デキャンタ」と呼称する店もある)。

グラスでは飲み足りないがボトル1本は飲み切れないというときに、キャラフェに入ったワインが注文されることになる。
日本酒の徳利と、機能においてはほぼ同じである。
この場合、中身のワインは比較的安価なはずである。

これに対してデキャンタージュは、値の張るレストランで、ソムリエが丁重に行なうサービス、という印象が一般的だろう。

 

キャラファージュとデキャンタージュの違い

キャラファージュとデキャンタージュの本質的な違いは、注目されることが少ないようだ。

キャラファージュの第一の目的は、ワインを空気と触れ合わせること(エアレーション)にある。
デキャンタージュの第一の目的は、瓶底の澱を取り除くことである。


どのようなワインでも、それこそ千円以下のワインから数万円以上のワインでも変わらず、瓶のまま開栓されていないワインは閉じている。
閉じているというのは、そっけない、無愛想な状態と解してよい。

エアレーションを行なうことでワインは開く。
開くというのは、衣装を着替えてこちらに微笑みかけている状態である。

エアレーションの様々な方法

エアレーションの方法には色々あり、手でグラスを動かし、中のワインを回転させるスワリングは一般的だ。
もっとも、スワリングは少しだけコツを要するテクニックであり、人前でやるには予め練習しておいた方が良い。

また、数10センチあるいは1メートルの高さからワインを勢いよく注ぐ、ワインを糸のように細く時間をかけて注ぐ、グラスから別のグラスに移し替える、といったテクニックが存在する。


その中で、キャラファージュは、最も簡単なエアレーションの一つといえるだろう。
要は、こぼさずにワインをキャラフェなりの容器に移し替えれば良いのだ。

 

キャラファージュ向きのワインとは

しかし、キャラファージュさえすればワインは美味しくなる、という結論にはならない。
その原因は、ワインの多様さにある。

そもそもキャラファージュすべきでないもの
一度のキャラファージュで十分に開くもの
キャラフェの中で何度か回転させた方が良いもの
キャラファージュを複数回行なうべきもの
キャラファージュの後3時間寝かせるべきもの

と言ったようにワインのタイプによって、エアレーションに必要な時間や手法が異なるのである。

それでは具体的にはどのようなワインがキャラファージュ向きで、どのようなワインはキャラファージュ向きでないのか。

しっかりしたタイプの赤ワインは、キャラファージュをすべきと言って差し支えない。

品種でいえば、

  • カベルネ・ソーヴィニヨン
  • メルロー
  • シラー
  • テンプラニーリョ
  • ムールヴェドル
  • マルベック

といったボディの強いワインだ。

これに対して、

  • ピノノワール
  • ネッビオーロ
  • ガメイ

のような品種をメインに造られたワインで、特に繊細さをテーマとして造られているものについては、キャラファージュは慎重であるべきだろう。

他方、一般に、白ワインはキャラファージュに向いていない場合が多い。
酸味や新鮮なアロマを楽しむべきワインは、そのままグラスに注いだ方が良いだろう。

ただし、白ワインの中でも、

  • シャルドネ
  • グリューナーフェルトリナー
  • アルバニーリョ

といった力強くミネラリィなタイプは、キャラファージュを行なうべきケースもある。

また、一部のオールドヴィンテージでもキャラファージュが勧められるタイプがある。
さらに、稀にだが、高温等で劣化したワインが、キャラファージュである程度回復することがある。


スパークリングワインに対するキャラファージュは、原則として行なわない。
キャラファージュに限らず、スパークリングにはエアレーションは通常勧められない。
せっかくの泡が飛んでしまうからだ。

しかし、シャンパーニュクラスの力のあるスパークリングワインとなると、原則が通用しなくなる。
多少の泡を犠牲にしても、キャラファージュを含めたエアレーションを行なうべき場合が実は多い。

 


この記事を執筆したのはアプランさん。

現役ソムリエとして20年の経験を積み、
年間2000~3000本ほどのワインを試飲。
JSA資格・調理師資格を保有。